・【その1温泉編(この記事)】と【その2食事編】にわけて記事にしました。
・【その1 温泉編】釜沼温泉 大喜泉(長野県木曽郡)温泉分析書と実際の「湯使い」を分析。源泉浴槽の構造、流路ダイナミクス、ORP(酸化還元電位)から読み解く高評価の真実
・【その2 食事編】釜沼温泉 大喜泉(長野県木曽郡)食事編。薬膳料理と木曽・信州の食材、朝食・夜食まで実食紹介
長野県木曽郡木曽町に位置する「釜沼温泉 大喜泉」。


薬膳料理の評判とともに、「アトピーに効く」「二酸化炭素を含んだ名湯」として口コミでも高い評価を得ている温泉宿です。
しかし、私が温泉を評価するときに重視しているのは、温泉分析書に記載された源泉の数値だけではありません。
分析書に記載された源泉が、実際にどのような経路を通り、どのような状態で浴槽へ投入され、入浴者がどの程度分析書(源泉)に近い状態の湯に入ることができるのか。
つまり「源泉のスペック」と同時に、実際の「湯使い」を確認することが重要だと考えています。
今回は大喜泉に宿泊し、実際に入浴した際の観察と、私自身の数十年間に及ぶ温泉体験、経験則をもとに、温泉分析書、湧出量、浴槽構造、給排水、滞留、そして酸化還元電位(ORP)の観点から考察します。
なお、以下のうち浴槽内部の流れやORPの変化等については、浴槽水そのものを分析・実測した結果ではなく、現地で確認した設備構造と入浴時の状態をもとにした私自身の考察を含みます。






温泉分析書と実際の給湯運用の疑問
大喜泉の温泉分析書の内容は以下の通り。
源泉名:釜沼温泉(大喜泉)
湧出地:長野県木曽郡木曽町三岳10762-67
泉質:含二酸化炭素-カルシウム-炭酸水素塩冷鉱泉
(低張性・弱酸性・冷鉱泉)
源泉温度:11.6℃
pH:5.9(湧出地)/6.05(試験室)
ラドン(Rn):未測定
湧出量:8.41 L/min(自然湧出)
分析日:2024年3月25日
(現地調査日:2024年2月28日)


温泉法における温泉基準値を超える成分
溶存物質(ガス性のものを除く):1,191 mg/kg
(基準値 1,000 mg/kg)
遊離二酸化炭素:1,637 mg/kg
(基準値 250 mg/kg)
総鉄イオン:12.6 mg/kg
(基準値 10 mg/kg)
メタケイ酸:74.8 mg/kg
(基準値 50 mg/kg)
鉱泉分析法指針における療養泉基準値を超える成分
溶存物質(ガス性のものを除く):1,191 mg/kg
(基準値 1,000 mg/kg)
遊離二酸化炭素:1,637 mg/kg
(基準値 1,000 mg/kg)
浴用の適応症
(効果が期待できるという意味であり、効能・効果が約束されているわけではない)
泉質別適応症
きりきず、自律神経不安定症、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症
一般的適応症
筋肉若しくは関節の慢性的痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進。
温泉成分を読み解く
成分組成を見ると、陰イオンでは炭酸水素イオンが835.0 mg/kg、98.63 mval%と大半を占める。
陽イオンではカルシウムイオン180.1 mg/kg、62.94 mval%が主体で、次いでマグネシウムイオン34.5 mg/kg、19.88 mval%。
いわゆる重炭酸土類系の化学組成。
さらに温泉法上の基準値を超える鉄イオン12.6 mg/kgや、メタケイ酸74.8 mg/kgも溶存。
溶存物質(ガス性のものを除く)は1,191 mg/kg。
遊離二酸化炭素を含めた成分総計は2,828 mg/kgに達し、pH5.9の弱酸性を示します。
数字だけを見れば、非常に興味深い冷鉱泉です。
前回分析との比較。マグネシウムが泉質名から消えた理由
今回の分析で目を引くのが、前回と泉質名が変わっていることです。
平成25年(前回分析)
含二酸化炭素-カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩冷鉱泉

令和6年(最新分析)
含二酸化炭素-カルシウム-炭酸水素塩冷鉱泉

つまり「マグネシウム」の文字が泉質名から消えています。
鉱泉分析法指針では、ミリバル(mval)%が20.00%以上となる成分を泉質名に併記します。平成25年の分析では、マグネシウムイオンが29.1 mg/kgで、陽イオン中の比率が約20.2 mval%。20%を超えていたため「マグネシウム」が泉質名に入りました。
一方、令和6年分析ではマグネシウムイオンそのものは34.5 mg/kgへと増えている。
ところが陽イオン総量14.28 mvalに対する比率では19.88 mval%。
わずかに20.00%を下回ったことで、規定上、泉質名から「マグネシウム」の表記が外れました。
実量は増えているのに、泉質名からは消えてしまうという悲運。
でも安心してください。源泉からマグネシウムそのものが消えたわけではありません。
私流にいえば、これは泉質名だけを見ていては気づかない「隠れ泉質」。
温泉分析書を数値まで読む人だけが気づく面白い部分です。
主要成分濃度は前回分析より上昇
平成25年と令和6年の分析値を比較すると、主要成分の多くが増加しています。
溶存物質(ガス性を除く)
1,007 mg/kg → 1,191 mg/kg
約18%増加
遊離二酸化炭素
1,461 mg/kg → 1,637 mg/kg
約12%増加
成分総計
2,468 mg/kg → 2,828 mg/kg
約14.5%増加
炭酸水素イオン
696.2 mg/kg → 835.0 mg/kg
カルシウムイオン
146.9 mg/kg → 180.1 mg/kg
鉄イオン
8.3 mg/kg → 12.6 mg/kg
2回の分析値だけで長期的な増加傾向まで断定することはできませんが、少なくとも今回の分析では、前回よりも主要成分の多くが高い値を示しています。
次回の分析でどのような数値になるのか、個人的にも興味深いところです。


大喜泉の湯使い
私が現地で確認した範囲では、概ね次のような運用です。
加水
源泉水風呂:なし
加温浴槽:(表示見当たらず)
加温
源泉水風呂:なし
加温浴槽:あり
循環ろ過
源泉水風呂:なし
加温浴槽(表示見当たらず)
塩素消毒
不明
源泉水風呂には、11.6℃の冷鉱泉が非加温の状態で供給されています。
ここまでは好印象です。
しかし、分析書単体を見れば優れた二酸化炭素泉である一方、最大のネックとなるのが絶対的な湧出量の少なさです。
湧出量8.41L/分をどう評価するか
温泉界隈で経験則として用いられる一つの目安に、
「源泉かけ流しを良好な状態で維持するためには、入浴者1人につき毎分1L程度の新湯が欲しい」
という考え方があります。
これは法令や学術論文上の基準ではありません。
私自身が数十年間にわたり温泉を巡る中で接してきた経験則であり、所属する会合でも、複数の温泉研究者から同様の目安を聞いてきました。
もちろん浴槽容量、滞在時間、入浴回数、浴槽形状などによって条件は変わるため、あくまでも経験的な目安です。
それでも、この経験則に当てはめれば、8.41 L/minという湧出量で良好な源泉かけ流し環境を成立させる場合、男女合わせて8人程度が一つの適量目安という計算になります。
大喜泉は宿泊施設です。
加温浴槽、源泉水風呂、飲泉、その他の用途へ限られた源泉を配分しなければならない。
そう考えると、8.41 L/minという自然湧出量は、決して余裕のある数字ではありません。
二酸化炭素泉にとって「貯留」と「加温」は大きな問題
大喜泉の源泉は遊離二酸化炭素1,637 mg/kg。
療養泉としての二酸化炭素泉基準である1,000 mg/kgを大きく上回る。
ところが二酸化炭素は、温泉成分の中でも非常に逃げやすい成分。
源泉を貯留し、空気と接触させ、さらに加温すれば、分析時に存在した遊離二酸化炭素は次第に散逸します。
したがって、分析書に記載された1,637 mg/kgという値を、そのまま加温浴槽の値と考えることはできません。
現地で実際に入浴しても、加温浴槽では分析書から想像するような強い炭酸感は感じませんでした。
源泉水風呂についても同様に、浴槽水そのものの二酸化炭素濃度を測定したわけではないため残存量を数値で断定することはできないが、分析書の採水時と浴槽内が同じ状態であるとは考えにくい。
なお、ここで一つ注意しておきたいのは、泡付きがない=二酸化炭素が存在しない、ということではない点です。
療養泉基準を満たす二酸化炭素泉でも、入浴時に明瞭なシュワシュワ感や気泡付着を感じない温泉はあります。
気泡の見え方だけで二酸化炭素泉を評価してはいけません。
非加温の生源泉を投入することの利点
一方、源泉水風呂へ注がれる新湯そのものは非加温の生源泉。
これは大喜泉の大きな長所だと思います。
加温工程を経ないことで、二酸化炭素の脱気や炭酸平衡の変化、炭酸塩類の析出など、加熱によって生じ得る変化を避けることができます。
したがって、浴槽へ投入される直前までという意味では、源泉成分を比較的そのまま保ちやすい供給方法。
問題は、その先。
つまり浴槽へ入った後、その源泉がどのように置換されるのか。
源泉水風呂の構造を観察
大喜泉には「源泉水風呂」と書かれた小さな浴槽があります。
源泉水風呂は、利用者が水栓を開いて源泉を補充する方式だが、「出しっぱなし禁止」とされていた。
つまり新湯を常時投入して浴槽水を連続更新する運用ではなく、必要に応じて補充する方式である。
私が温泉評価で重視する「鮮度」という点では、ここが最も残念だった。せっかく非加温の生源泉を浴槽まで導いているのだから、少量でも新湯を常時投入してほしいところである。
大人1名程度でいっぱいになる小容量の浴槽で、11℃台の冷鉱泉を直接楽しめる。
この「源泉そのものに入る」という体験は、大喜泉の大きな魅力の一つです。
一方、私が気になったのは給排水構造です。
※写真は宿泊時の源泉水風呂。蛇口から源泉を投入する構造と小容量の浴槽であることが確認できる。以下の浴槽内流動については、この設備構造と現地観察をもとにした筆者の考察である。(撮影は宿の許可を得ています)




給排水構造と流路短絡の可能性
注水機構
浴槽上部の壁面に設置された蛇口を利用者が手動で開放し、新湯を投入する方式。

排水機構
浴槽上部からのオーバーフロー排水。
つまり「上部から投入し、上部から排出する」構造です。(あくまで見た目の印象)
このような配置では、流量、浴槽形状、水温差、入浴者による撹拌などの条件によっては、投入された新湯の一部が浴槽全体を十分に置換する前に排出される、いわゆる短絡流(ショートサーキット)が発生する可能性がある。
もちろん、浴槽内部の流動をトレーサー試験等で確認したわけではありません。
また、11℃台の冷鉱泉は温かい浴槽水より密度が高いため、投入後に沈降する作用も考慮する必要があります。
それでも、給水口と排水位置がともに浴槽上部にある以上、「新湯が浴槽全体をどの程度均等に置換しているのか」という疑問は残る。
私が温泉浴槽を見る際、投入量だけでなく、入った新湯がどこを通って、どこから出ていくのかを重視する理由です。

入浴者による汚濁負荷を考える
一般に、入浴者が1回の入浴で浴槽へ持ち込む皮脂、落屑、汗などの有機物汚れは、経験的な目安として約0.5g/人とされています。
仮に男性宿泊者10名が当日この浴槽を利用したとすれば、0.5g × 10人=5.0gの汚濁物質が浴槽へ持ち込まれる計算。
もちろん、これは実際に5gを計量したという意味ではありません。
入浴前の洗体状況や入浴時間、個人差によって大きく変わるため、浴槽負荷を理解するための経験的な試算。
しかし、小容量浴槽であればあるほど、一人の入浴者が浴槽水全体へ与える影響は相対的に大きくなりがち。
だからこそ、小浴槽では新湯による継続的な置換が重要になると私は考えています。

なお、写真で確認できる浴槽縁や周辺には褐色系の着色・付着も見られる。
ただし、大喜泉の源泉には鉄分が多く含まれている(温泉基準値以上、療養泉基準値未満)ため、こうした付着物には温泉成分由来の析出物が相当量含まれている可能性があります。
外観だけで「入浴者由来の汚れ」と断定することはできません。
夜間の新湯投入と「朝一番の恩恵」
温泉旅館に宿泊する際、楽しみにしていることの一つが朝一番の湯。
夜間も新湯が投入され続け、十分なオーバーフローと全換水が進んだ浴槽。
そこへ朝一番に入る。
日帰り入浴ではなかなか味わえない宿泊者ならではの楽しみです。
ところが、私が大喜泉に宿泊した際には、夜間の源泉水風呂への新湯投入は停止されているように見受けられた。
湧出量が8.41 L/minと少ないことを考えれば、限られた源泉を効率よく利用する必要があることは理解できます。
しかし、私のように「浴槽水がどれだけ新湯へ置き換わっているか」を重要視する入浴者にとっては、朝一番にターンオーバー(浴槽の湯が入れ替わること)した源泉を味わう恩恵が得にくい点は残念です。
酸化還元電位(ORP)から「温泉の鮮度」を考える
温泉の「鮮度」を考察する際に、私が重視している指標の一つが酸化還元電位(ORP)。
ORPは、水が酸化側にあるのか、還元側にあるのかを考察する際に用いられる指標。
一般的に、地下環境に存在していた温泉水は湧出後、空気との接触、貯留、撹拌、加温などによって酸化方向へ変化する。


大喜泉の源泉水風呂は非加温
したがって、加温による変化を受けないという点では非常に好ましい。
しかし一方、長時間の滞留、空気との接触、新湯による置換率、夜間の注水状況などを考慮すると、浴槽内では時間経過とともに酸化が進み、ORPが上昇している可能性がある。
ただし、今回私は浴槽内のORPを実測していません。
したがって「ORPが何mVまで上昇している」といった定量的な話ではなく、現地の浴槽構造と湯使いから考察したものです。
鉄分を12.6 mg/kg含む源泉であることからも、空気接触後の酸化状態の変化は興味深いところ。
源泉分析書に記載された数字だけでなく、その鉱水が湧出してから何分、何時間を経て自分の肌へ触れているのか。
私はそこまで含めて「温泉の鮮度」として評価しています。
アトピーに対する評価について
大喜泉について調べると、「アトピーによい」「肌に良い」という趣旨の口コミを見かけます。
実際に利用して改善を実感した人がいるのであれば、その個人的体験を否定するつもりはありません。
一方、私は温泉を評価するとき、口コミによる体験談と、温泉分析書・泉質・浴槽状態による評価を分けて考えています。
大喜泉はpH5.9の弱酸性泉。皮膚疾患に対する温泉療養という観点では、例えば草津(群馬)、玉川(秋田)のような強酸性泉や酸ヶ湯(青森)のような酸性硫黄泉とは、水質の性格が大きく異なります。
また、大喜泉の浴槽については、源泉の滞留、新湯置換率、空気との接触、それに伴う酸化なども含めて考える必要がある。
したがって、「アトピーに効く」という口コミのみから療養効果を一般化することには慎重であるべきだと考えます。
あくまでも私自身の温泉評価上の印象です。
なぜ大喜泉は高い評価を得ているのか
ここまで読むと、「それではなぜ大喜泉は口コミで高く評価されているのか」と思われるかもしれません。
私は実際に宿泊して、その理由がよく分かりました。
温泉宿の評価は、温泉分析書の数値や湯使いだけで決まるものではない。
大喜泉の場合、周囲に自然以外ほとんど何もない静かな環境、客室数を絞った落ち着いた滞在、建物の雰囲気、温冷交代浴、個性的な飲泉体験、手作り感のある薬膳風郷土料理、丁寧な接客、夜食サービスなどの細かな心遣い、といった要素が組み合わさっています。
こうした宿泊体験全体の満足度が非常に高い。
温泉の湯使いについて細かく分析しない一般的な宿泊客にとっては、むしろこちらの総合体験こそが大喜泉を評価する大きな理由でしょう。
これは決して悪いことではありません。
むしろ、温泉だけに依存せず、宿全体で滞在価値を作り上げている点は大喜泉の強みです。
温泉分析書の説明会は特筆すべき取り組み
そして大喜泉で特に印象に残ったのが、宿泊者に対して温泉分析書の説明を行っていること。
全国津々浦々の温泉施設を長年巡ってきた私にとっても、これは初めての体験。
多くの温泉施設では、脱衣所の壁に分析書が掲示されているだけです。
宿泊客の中で、それを最初から最後まで読む人がどれだけいるでしょうか。
まして、宿側から分析書の内容を説明する施設となると、非常に珍しい。
もちろん、分析書を詳しく説明すればするほど、私のように湧出量や浴槽への供給方法、実際の湯使いまで気にする客が出てくるという側面もあります。
それでも、温泉分析書を宿泊者へ説明しようという姿勢そのものは高く評価したいと思います。
飲泉体験は貴重
大喜泉を訪れたなら、現地の飲泉も体験しておきたいところです。飲泉を許可されている温泉施設は少ないのです。飲泉できそうに思うような温泉でも、保健所の許可証が見当たらないことがあります。
11℃台の冷鉱泉に1,637 mg/kgもの遊離二酸化炭素、さらにカルシウム、マグネシウム、鉄、炭酸水素イオンを含む源泉。浴槽よりは炭酸を感じる。もちろん、湧出直後という条件がつくのは前述の通り、遊離二酸化炭素成分の宿命みたいなはかなさのため。
浴槽とは異なり、飲泉では源泉そのものの個性を直接感じやすい。
飲泉許可された場所で、施設の掲示や注意事項に従って味わうことをおすすめする。
温泉水の持ち帰りについては、施設側の案内や利用上の注意を確認した上で判断してください。私は持ち帰りません。二酸化炭素は散逸するし、成分は劣化するし。
一方、私が訪問した際、温泉持ち帰り場所に掲示されていた温泉分析書は前回分析のものでした。2024年に新しい分析が実施されているため、現在の源泉状態を知るという意味でも、新しい分析書へ更新していただければ利用者にとってより分かりやすいと思います。
旧分析書は旧分析書で、今回の分析との成分変化を知る貴重な資料です。
できれば新旧両方を比較できる形で掲示してもらえると、温泉好きとしてはさらに興味深いところです。温泉分析書そのものの表示は温泉法で義務化されていないが、以下については表示義務があります。違反すれば罰則がある。

温泉総括
釜沼温泉 大喜泉の源泉は、分析書だけを見ると非常に魅力的です。
遊離二酸化炭素は1,637 mg/kg。
溶存物質は1,191 mg/kg。
カルシウム180.1 mg/kg、マグネシウム34.5 mg/kg、鉄12.6 mg/kg。
11.6℃の冷鉱泉が自然湧出しています。
源泉そのものは、私にとって非常に興味深い存在です。
一方で、分析書に記載されているのは、あくまでも分析時の源泉。
入浴者が実際に触れるのは、そこから施設の給湯設備を通り、浴槽へ投入され、一定時間滞留した温泉です。
大喜泉の場合、私が気になったのは、
湧出量8.41 L/minという源泉量
加温過程における二酸化炭素の散逸
小容量の源泉水風呂の滞留状況
上部からの給水と上部からの排水
新湯による浴槽水置換の状態
源泉風呂には常時新湯投入がない
滞留と空気接触による酸化
といった点です。
特に、私が経験則として重視している「1人1 L/min」という目安から見れば、限られた源泉を宿全体で利用する大喜泉の湯使いには、どうしても制約がある。
また、小容量浴槽では入浴者一人一人の汚れ影響も大きい。経験的な目安である0.5g/人を用いれば、10人で5g。
だからこそ、新湯がどれだけ連続的に供給され、浴槽水がどれだけ更新されているかを私は重視する。
さらに、ORPという観点からも、湧出直後の源泉と長時間浴槽に滞留した源泉を同じものとして評価することはできない。
私のように、温泉分析書のデータにできるだけ近い状態の湯へ入ることを高く評価するタイプの客にとっては、少々残念な部分が残る湯使いでした。
この点について宿側に質問したところ、施設側も源泉量の少なさを課題として認識しており、新たな井戸の掘削も検討しているとのこと。
しかし、温泉だけで大喜泉という宿の価値を判断するのは適切ではありません。
源泉水風呂と加温浴槽による温冷交代浴。
個性的な飲泉。
自然以外ほとんど何もない木曽の山中という立地。
建物の雰囲気。
そして評価の高い料理。
こうした要素を一体として楽しむ宿なのだと思います。
滞在期間中の印象
まず「秘湯感」という点では非常に好印象でした。
周囲には自然以外ほとんど何もありません。温泉宿へ来たという非日常感を十分に味わうことができる。


建物も周囲の環境によく馴染み、豪華さを前面に出すのではなく、山中の温泉宿らしい落ち着いた雰囲気。





そして前述した通り、特筆したいのが温泉分析書の説明。
さらに滞在客へのサービスとして用意されるミニおにぎりと味噌汁の夜食。
セルフ販売されているアイスクリーム。そのようなちょっとしたサービスも好印象でした。
温泉そのものについては私なりに厳しく評価する部分があります。
それでも、宿泊施設として大喜泉に惹かれる人が多い理由は、実際に滞在すればよく分かる。
そして、その評価を決定づけるもう一つの大きな要素が「食事」です。
大喜泉の食事については、温泉とは分けて別記事で詳しく紹介します。

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・志賀ほたる温泉(熊の湯)
・地獄谷温泉(長野県下高井郡山ノ内町)1997/06/26
・渋温泉外湯巡り(長野県下高井郡山ノ内町)1997/06/26
・渋温泉御宿ひしや寅蔵(長野県下高井郡山ノ内町)1997/06/26
・湯田中温泉金具屋2023/09/18-09/19
・小谷温泉(長野県北安曇郡小谷村)1989/09/05
・白馬八方温泉(長野県北安曇郡白馬村)白馬ホテルグローリアス
・白馬八方温泉郷の湯(長野県北安曇郡白馬村)2016/07/23
・白馬八方温泉 おびなたの湯(長野県北安曇郡白馬村)
・白馬姫川温泉ペンショントマト2000/08/06
・奥白馬温泉(グリーンプラザ白馬)2022/10/21
・中房温泉2024/08/20-08/21
・土肥温泉
・三保はごろも温泉2018/12/22
・熱海七湯2024/01/16
・伊豆稲取温泉2024/01/16-01/17
・湯ケ野温泉伊豆の踊子の宿 福田屋2024/01/17
・伊豆修善寺温泉独鈷の湯(観光)2024/01/17
・濁河温泉湯元館2018/08/26-08/27
・濁河温泉朝日館2018/08/26-08/27
・濁河温泉,旅館御岳,ヒュッテ森の仲間,濁河温泉ロッジ2018/08/26-08/27
・新穂高温泉ホテル穂高2020/02/21-02/22
・新穂高温泉神宝湯新穂高ロープウェイ2020/02/22
・新穂高温泉中崎山荘奥飛騨の湯2024/05/07-05/08
・奥飛騨温泉郷 穂高の湯2024/05/07-05/08
・奥飛騨温泉郷 槍見館 槍見の湯他2024/05/07-05/08
・奥飛騨温泉郷中尾の湯ヨーデル1991/10/09
・尾張温泉
・熊野入鹿温泉
・湯の口温泉旧施設(三重県熊野市)1998/04/08
・湯の口温泉旧施設(三重県熊野市)2007/10/27
・湯の口温泉新施設(三重県熊野市)2018/08/15
★・2013/05/04渡瀬温泉(和歌山県田辺市) 本宮温泉郷
★・2013/05/04 川湯温泉、渡瀬温泉(和歌山県田辺市) 本宮温泉郷。
★・2013/05/04 湯の峯温泉 世界遺産登録の温泉「つぼ湯」入浴。
・龍神温泉(田辺市) 2008/05/03
・十津川温泉(奈良県十津川村) 1998/07/20,2007/10/28
・勝浦温泉ホテル浦島温泉 2019/08/16-08/17
・勝浦温泉ホテル中之島(旧)2007/11/29
↓ 2019/08/16撮影 ホテル浦島側よりホテル中の島
・勝浦温泉はまゆ2019/08/16 湯が新鮮。特に開場直後のお湯は素晴らしい
・夏山温泉もみじや2019/08/17
・湯川温泉四季の郷温泉2019/08/17
・ゆりの山温泉2019/08/17
・岩鼻温泉 流し台の湯(那智勝浦町川関)2019/08/17
・白浜温泉白良湯2017/04/08
・白浜温泉長生の湯2017/04/08
・白浜温泉綱の湯2017/04/08
・「令和、白浜15湯」南紀白浜の共同浴場と源泉巡り。源泉15ケ所。温泉分析書の“隠れ成分”まで説明。崎の湯,牟婁の湯,綱の湯,松乃湯,露天風呂しらすな,御船足湯,つくもと足湯,柳橋足湯,行幸源泉,砿湯,藤乃湯源泉とれとれの湯,甘露の湯,長生源泉,白良浜,蓬莱湯,渚の湯,千寿1号,かごめ,付録「白浜温泉15源泉温泉分析表一覧」2025/09/07
・みなべ千里浜温泉紀州南部ロイヤルホテル2017/04/09
・上北山温泉薬師の湯2019/09/16
・上北山 小処温泉1998/07/09
・下北山温泉2019/09/16
・京都市竹の原温泉京都エミナース2019/08/11-08/12
・丹後奥伊根温泉油屋本館2019/04/26-04/27
・天の橋立岩滝温泉ホテル橋立ベイホテル2017/01/03-01/04
・丹後温泉2023/01/01問人蟹
・赤穂温泉2019/02/23
・有馬温泉 古泉閣2022/11/07-11/08
・城崎温泉(豊岡市)2010/04/10 一の湯,地蔵湯,三木屋
・道後温泉本館2023/02/12朝6時入浴
・道後温泉椿の湯2023/02/11
・道後温泉別館飛鳥乃湯泉2023/02/11
・奥道後温泉(ルナパーク)2023/02/11-02/12
・ひまわり温泉北九州八幡ロイヤルホテル2016/04/08-04/09
・雲仙温泉1997/06/06
・小浜温泉1997/06/06-06/07,他
・別府鉄輪温泉1998/02/12
・由布院温泉2022/12/11-12/12
湯布院温泉と金鱗湖、そして由布院温泉】「ゆふいん」の理由。由布院ことぶき花の庄と湯布院下の湯入浴記。湯の坪街道と由布岳の景色。
・由布院。由布岳と下の湯2022/12/12
・黒川温泉2022/12/12-12/13 湯峡の響き優彩
・黒川温泉新明館2022/12/12
・鹿児島山川砂むし温泉砂湯里2024/02/12
・指宿砂蒸会館砂楽(砂風呂入浴)2024/02/12
・指宿温泉 白水館2024/02/12-02/13
・指宿 村之湯2024/02/13(足元湧出)
・霧島温泉 湯之谷山荘2024/02/13-02/14
・塩浸温泉(霧島市)2024/02/14
