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・新規自社開発ブランド「うなぎ山安」と「魚屋まるは」を店内の左右でコーナー化(別店では無い)。伝統の活魚文化と山安の職人技が交差。三河一色の「艶鰻」なのか「三河鰻咲」なのか。伝統の活魚文化と山安の職人技が交差
まるは食堂の価値観
愛知県知多半島豊浜で生まれた「まるは食堂」の名は、地元(知多半島だけでなく愛知県全般)の人間にとって特別な響きを持つ。
1980年代後半から1990年代前半にかけて、南知多本店で創業者である「うめばあさん」こと相川うめ氏が現役で店を切り盛りしていた頃、豊浜漁港の堤防釣りの帰りに同僚たちと立ち寄った記憶が、今も鮮明に蘇る。豪快な活魚料理と何よりも客を喜ばせようとする前向きな活気に満ちた、あの時代の空気感は知多の海の象徴だった。
そのまるは食堂が、愛知県地図の中央部にあたる西三河地区へ初出店を果たしたのが、この「まるは食堂 三河安城店」。
■ まるは食堂の「差異化」
:自社ブランド「うなぎ山安」の誕生
新幹線三河安城駅からほど近い場所に出店した当店は、従来のまるは食堂とは少々異なる特徴を備えている。
三河一色のブランド鰻「三河鰻咲(みかわまんさく)」や「艶鰻(えんおう)」を扱う自社専門店「うなぎ山安」とのコラボレーション店舗である。
ここでいう「コラボレーション」とは、外部企業との提携ではなく、まるは食堂を展開する「株式会社まるは」が、鰻の本場である三河地区への出店に際し、新たな顧客価値を創造するために開発した社内ブランド。
知多の海の幸と、三河平野の鰻。この二つのブランドを一つの店舗で統合し、提供するオペレーションは、まるは食堂の歴史における新たな差異化(×差別化)戦略と言える。
店内風景

店内入口は2ケ所。中央が「まるは食堂」で、左側は「魚屋」コーナーの入口。おそらく活魚その他原料の受け入れ場所も兼ねている様子。


併設店と紹介されることがある「うなぎ山安」は「まるは食堂」に入って右側の場所に「山安」と表示された扉があるものの、店内を間仕切りしたような設置。

メニューも表示こそわかれているが、「まるは食堂」側でも「うなぎ山安」側でも注文可能。
店頭看板は「まるは食堂」のみで、入口の左側には「まるは食堂」を大きく表示して、「魚屋」と「山安」を小さく表記してあることから鑑み、「山安」は「まるは食堂三河安城店のうなぎ提供コーナーの位置付け」であって併設店ではない様子。

「山安」はなんとか新ブランドをアピールしたいまるは食堂考案の苦心の配置となっている。高速SAでもよく見かける1運営業者による複数ブランド運営店的な。
営業届の屋号を確認すればすぐにわかるものの、見つけることができなかった。
「山安」は予約者専用のスペースで、メニューは「まるは食堂」と「山安」を区分けして表示しているものの、いずれの座席でも注文可能。
従業員も調理場も共通で、独立併設店ではなく、予約した客の専用コーナーのようです。


「山安」の反対側、店舗左側に設置された「魚屋(魚売場)」の活魚水槽が目に飛び込んでくる。訪れた日は、ヒラメ、真鯛やブリ系などの数種の活魚が静かに水を捉えて泳いでいた。値札や魚種表示等の掲示はなく、ただそこにある活魚用海水が市場の延長線上にあることをささやかに語りかけてくる。
貝の水槽には平貝や白ミル貝、サザエに混じってまるは食堂名物の刺身“おどり”メニューに使われる車エビも活かされていた。
もう少し、根魚など豊浜らしい魚種があったら嬉しいのに。









▢メニュー

客席のメニューを開けば、まるは食堂の代名詞である「エビフライ」や地魚のお刺身と並び、うなぎ山安の「炭火ひつまぶし」や「炭火うな重」が堂々と鎮座している。今回は双方の魅力を一度に確認できる「山安コラボ定食(税込3,850円)」を選択した。
★実食検証:山安コラボ定食と、三河一色産「三河鰻咲(みかわまんさく)」の仕上がり

配膳された盆には、まるは伝統の大ぶりなエビフライ、サワラの刺身、そして小ぶりの丼に盛られたうなぎ丼が配置されている。
当方の鰻における嗜好をあらかじめお伝えしておくと、タレは甘すぎず辛すぎず、身と皮の間の生焼き特有の不快な食感(グニャ感)が一切排除されていることが絶対条件である。また、肉厚な大型サイズを好む。ひつまぶし用の4Pサイズの鰻はどこの老舗銘店であっても嗜好品ではない。
そして蒸し工程が入る関東風ではなく、皮側をしっかりと焼く関西風を好むことも付け加えておきたい。
サイズ感と出自の透明性について。
卓上の案内によれば、使用されているのは三河一色のブランド鰻の「三河鰻咲(まんさく)」が使われている。

実は店内掲示ポスターの雌うなぎ「艶鰻(つやまん)」を先に見ていたので、てっきり「艶鰻」を使っていると思いこんでいて、メニューの「三河鰻咲」表示を見落としていた。良く眺めると店内には両方のうなぎポスターが掲示されている。今回は「艶鰻」の方を食べるために「山安コラポ」を注文したのに、残念無念。

丼に盛られた鰻を見ると、一切れの肉厚さに目が留まる。尾張方面のひつまぶし専門店で見かける4Pサイズよりもやや大きく、3Pサイズのやや小振りなもの、あるいはそれに準ずる肉厚さを持った個体が使用されている。お気に入りの某うなぎ店の3P特大サイズ程ではないが、まあまあのサイズ感。
焼きはしっかりとしているものの、長焼ではないので尻尾の端の焼き加減を確認できないのが残念。



産地は表示されているが、サイズを表記している鰻店は皆無。聞いても「は?」と言われたり「三切れです」とか質問の意味を理解していない答えが返ってくることが多い。最近は「調理場に行って活きていた時のウナギの重量を聞いてきて」と聞くようにしている。
永年、調達の実務や統括責任者として携わってきた者として、「見ればわかる」というものの、原料について、注文前に正確で正直な開示は非常に大切と思っています。表示がきちんとしている店は食品衛生も原材料の管理や料理・調理もしっかりとしているという印象を持つ。
「表示は企業の、店の、何より提供者の人となりを表す」。
焼き加減と火入れの事実
提供時間から推察される調理オペレーション
箸を入れると、関西風(蒸し工程なしの地焼き)の力強い火入れが確認できる。皮目は香ばしく焼き上げられており、懸念される皮下の余分な脂は綺麗に落とされている。身の水分と脂のバランスは適正に保たれ、地焼きならではの噛みしめる喜びが素朴に伝わってくる。焼き加減に関しては、職人の手仕事としての丁寧さが伺える上々な仕上がりと思わせてくれるが、さらなる進化を期待したい。鰻の盛付はなんとかして欲しいところ。
一点、客観的な事実として書き留めておくべきは、注文から提供までの時間が想定よりも早かったという点である。当方が最も理想とする「注文を受けてから、活かし込み用の養鰻篭から取り出し、その場で開き、金属串を打って紀州備長炭でじっくりと焼き上げる」という一連のフルオンデマンドの工程を踏んでいる場合、提供には通常30分前後の時間を要する。 当店のスピード感を鑑みると、素焼き・白焼きなどの下準備を済ませたものを本焼きするオペレーションが推察されるが、某超有名老舗店のような「朝に白焼きして提供前に本焼き」というタイプではない様子。
決して平坦な味ではない。自社ブランドとして山安を開発したまるは食堂の、素材と技術への矜持がしっかりと宿っている。
と、思い込むことにする。
提供時間の早さに現代の効率的な店舗運営の姿を垣間見せつつも、運ばれてきた料理の向こう側には、自社ブランドとしての責任を持って仕入れルートを厳格に守る誠実さと、素材を活かそうとする職人の静かな呼吸が確かに感じられた。
地元の実直な食材を、背伸びをせずに真っ直ぐに楽しむ。そんなささやかで心地よい感動が、この定食のなかには確かに存在している。
ああ「艶鰻(えんまん)」が食べたかったなぁ。
■ 総評:表示と実態がもたらす、ささやかな充足感
まるは食堂が培ってきた海鮮への信頼感と、三河安城店のために開発された自社ブランド「うなぎ山安」が拘る三河一色産の素材。この二つが安城市の地で合流した意義は小さくない。
艶鰻(えんまん)と三河鰻咲(まんさく)の違い
ちなみに「艶鰻(えんまん)」の特徴は雌鰻。
9割以上が雄となる養鰻を「大型雌ウナギによる新規市場開拓コンソーシアム(イノベーション創出強化研究推進事業JPJ007097))」とその後の「三河一色めすうなぎ研究会」の努力により、2024年にメスが9割となるニホンウナギジャポニカ種の安定した育成をすることができるようになった。
これが「艶鰻“えんまん”」。女性ホルモンと似た構造を持つ「大豆イソフラボン」を一定の割合で餌に混ぜ込むことにより、雌鰻90%を実現。
おかげで、昨今の海外産やジャポニカ種以外を混ぜ込ませていないかという心配をしなくて済む。
さらにふんわりと柔らかな身、際立つ脂の旨み、香ばしくて柔らかな皮、うまみ成分であるグルタミン酸は従来の鰻の1.5倍(艶鰻紹介公式ホームページより)
三河鰻咲(まんさく)は「三河淡水グループ」のオリジナルブランド鰻で、天然風味にこだわって養殖。自然に近い養鰻池環境と、健康に配慮したオリジナル飼料「三河鰻咲」で育てている。
鰻は高額品なので、産地や品種、サイズは絶対に知りたい情報。でも、最近はうなぎの産地表示されていないことが以前より多くなった。特に三河一色産の偽装で告発された人気店の事件以降の新店で目立つ。残念な傾向である。
【視点:食彩品館】 (調理士・食肉技師・有機栽培行程管理士の知見を基にした視点) 42年間の流通・食品管理実務経験や食品調達統括責任者としての経験に基づき、食材の質、表示の整合性、食品衛生管理などを客観的に検証。
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