【湯布院(大分県由布市)~黒川温泉(熊本県)旅行記その1。湯布院温泉と金鱗湖、そして由布院温泉】「ゆふいん」の理由。由布院ことぶき花の庄と湯布院下の湯入浴記。湯の坪街道と由布岳の景色。

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閲覧前に了承していただきたいこと

★この記事は2022年12月に旅行した時点での記録であり。現在とは異なる部分もあります。また、私が気付いた当日の状況であって、見落としや思い違いもあるかもしれません。その点をご了承の上、記事をお読みください。

★★食べログ記事をアップしました↓

由布院ことぶき花の庄(湯布院温泉郷の中の由布院温泉)宿泊記。

旅行全ルートと2日目ルート(湯布院・由布院から黒川温泉まで)

目次

湯布院と由布院の違いと使い分け

 大分県由布市。山は「由布」、駅も「由布駅」で、市名も「由布市」なのに温泉は「湯布院温泉」。住所は「由布市湯布院町」。
正確にはどっちなんだろうか。
従来は「由布院」と書くのが普通だった。
平成の大合併以降に由布院と湯布院が混在するようになり、さらには大分県由布市の「由布院温泉」「湯平温泉」「塚原温泉」「庄内温泉」「挾間温泉」の 5 か所の各温泉地について「湯布院温泉郷」と称するという由布市の「国民保養温泉地計画書」によって、私のような旅行者にはさらにややこしいことに。
もっとも、1981年に「湯布院温泉」として国民保健温泉地に指定されているので、温泉郷(複数の温泉地が一定の場所に集まっている地域)としては「湯布院温泉」が正しい表記。「由布院温泉」は湯布院温泉郷のひとつの温泉地の名称です。
そんなわずらわしさを解消するため、昨今は「ゆふいん」とひらがな表記を“あえて”するようになっているらしい。
 団体旅行時の説明は「温泉は“湯布院”で、地名と駅名は“由布院”」と案内されたが、実際には温泉郷としては「湯布院」で、(湯布院温泉郷の中の一つの)温泉地としては「由布院温泉」。人の説明は鵜呑みにしないという教訓になった。

 私の所属する日本温泉地域学会は由布市の ① 由布院温泉(金鱗湖と「下ん湯」共同浴場) ② 湯平温泉(伝統的石畳街) ③ 湯平温泉(統的飲泉文化) ④ 塚原温泉(泉源地帯)の4ケ所を日本温泉地域資産に2004年に選定している。

 まずは宿泊した「由布院 ことぶき 花の庄」について。
由布院温泉の歴史を振り返ると、1959年の国民保養温泉地に認定されたことで認知度が
アップして、それまでの「奥別府」という呼称を返上することになった。
湯布院温泉郷国民保養温泉地計画書

由布院 ことぶき 花の庄

 建物は少々、年季が入っているものの、館内外はしっかりと管理されていて清潔感もある。ホテル敷地内には茅葺きの家「ほたる舎」、水車小屋「山里」、能舞台「浮き舞台」があるのも特徴。
今回は団体旅行で訪れたが、団体旅行宿泊施設としては割りとマシと言っては語弊があるが、なかなか良い印象の施設でした。
ただ、この施設だけでなく、温泉表示について疑問を感じたことで、以降の旅行は旅行社を入れずに個人手配をするようになった。もう3年経過したのでそろそろ記事にしようかと思った次第。

由布院 ことぶき 花の庄
大分県由布市湯布院町川上2900-5
℡0977-84-2161
部屋数
総部屋数50室: 和室46室/洋室4室

🔳和風庭園

 茅葺きの家「ほたる舎」・水車小屋「山里」・浮き舞台

▢温泉について

チェックイン~深夜0:00まで
翌日6:00~9:30まで

※浴槽画像は全国の旅館施設の大部分では撮影機材の持ち込み禁止のため公式ホームページより抜粋させていただいた一般公開画像です。浴室は特別な許可を受けた場合を除き、撮影は控えています。

↓ 某 温泉施設での掲示(当温泉ではありません)

↑「処罰」されるかどうかはともかく、男性だけでなく、女性による盗撮事件もあったことから、実際に盗撮していなくとも、疑われてしまうことになりかねません。浴槽及び更衣室への撮影機材の持ち込みは避けた方がよさそうです。と、言っている私自身、20年前には「浴場でニッコリ記念撮影画像」を公開していた・・・(現在は削除・修正済)。

▢殿方露天風呂&山の湯

▢ご婦人露天風呂&花の湯(iPhone買い替えのきっかけとなったピンボケ画像でごめんなさい)

(画像は公式HPより)↓

 私の嗜好する「足元湧出」、「湧出源泉浴槽直行」、「温泉加工無し(加温・加水・循環・消毒等)」の温泉ではないが、ジオネラ属菌対策もしっかりと実施されているだけでなく、循環温泉における新湯投入量不足によるお湯の汚れや掃除不足による臭い(主として次亜塩素酸ナトリウムがタンパク質に反応する臭い※次亜塩素酸ナトリウムそのものは無臭です)も入浴当日は感じなかった。

◇温泉成分データについて(温泉分析書)

 (浴槽ではなく源泉のデータです)

泉質名 単純温泉
(単純温泉は療養泉基準値を超えるが溶存成分が1,000mgに満たない温泉)

溶存物質(ガス成分除く)727mg/kg
 (総成分ではない。総成分だけ紹介するサイトもあるが、溶存成分が基準値対象項目です)

□温泉基準値超え

・源泉温度基準値25℃に対して62.4℃

・メタケイ酸基準値50mgに対して221mg/kg
・メタホウ酸基準値5mgに対して13.6mg
  ※メタケイ酸(天然の保湿成分)とメタホウ酸(キズの回復)が豊富。肌に嬉しい成分

□療養泉基準値超え

・源泉温度基準値25℃に対して62.4℃
 (温泉基準値と同じ)

※源泉温度が62.4℃のため療養泉となり、泉質名と適応症(効能ではない)を表示することが可能。
メタケイ酸は温泉基準値の4倍あるものの、溶存成分は727mgと成分薄目の温泉。源泉温度が25℃を超えていないと「泉質名無し」になるところだった。

表示の違和感

 ここで、あれ?という表示。
温泉法で義務付けられている温泉の運用利用の表示について。

循環あり、加温あり、加水あり、消毒ありとなっている。


源泉自体が薄目の成分で加水・加温・循環では浴槽での成分はどうなってしまうんだろうという心配が・・・。
また、源泉温度が62.4℃なのに“加温”している。貯湯しての運用と思われる。(この部分、私的推測)。

 この団体旅行に決めたのは当旅館が「100%源泉かけ流し」とホームページで紹介されているため、この浴場での表示は違和感があった。(浴槽のうち、どれかが源泉かけ流しであればと思い、探したが表示は見当たらなかった)
もう一度、ホームページをよく読むと「露天風呂」の後に「100%源泉かけ流し」という表現がされていることに気付く。もしかすると露天風呂の説明文なのかと思ったものの、それだったら「温泉に関する追加項目一覧表」に書いておいていただくとありがたい。

さらに温泉分析表の分析日が「平成1年」(1989年)」になっている。適応症の決定日付は平成6年(1994年)。

温泉法で、成分の分析は10年毎に実施することが義務付けられているので、日付の書き間違い?と思いつつも、旅行社手配の団体旅行なのでホテルに直接確認することを躊躇った(後日、宿泊客として問い合わせはしたが、返信は今のところありません)。
これからは個人手配して事前に宿泊施設に詳しく問合せた方が良いなと思ったのです。
尚、どこかに新しい成分情報が掲示されているのかも知れません。これをもってして当ホテルに正しい掲示がされていなかったというわけでもありません。あくまでも私が気付いた部分のみで、しかも3年前の状況です。当記事を元にしてホテルに確認とか関係公的機関に通報とかしないようにお願いします。ご自身で現地現物で確認してくださいませ

 それでも、浴場も浴槽もお湯は清潔に保たれていて、レジオネラ属菌対策も実施されている。気持ちの良い入浴ができます。

温泉分析書データ(TMGP作成資料)

食事について

夕食

 さて、気を取り直して夕食。
大きなホテルの食事にはあまり期待できないことが多い。理由としては喫食2時間前調理という厚生省の大規模調理施設マニュアルに書かれている目安があるが、団体調理の作業上、調理後2時間以内喫食に合わせた調理を全クリアするのは難しいと思われることや、天ぷらや刺身などは大型ホテルの団体食の場合、ジャストインタイム提供で調理工程を取りまわすことが難しいことも理由。
ただ、施設側もできるだけおもてなしをしたいという熱意は伝わってくるこの姿勢は評価できると思います。

 和食料理の献立は三品、五品、九品、十一品と奇数で提供される。
当ホテルは十一品ということで数的には多い。
私の嗜好としては「地場の特産品と地元メニューを少量で」。よって会席料理は数も量も私には多すぎる
それでも、ホテルのおもてなしの心意気は伝わった。
御馳走様です。
素材主義の私としては「由布錦(ご飯)」と「大分冠地鶏スープ」を食すことができたのが嬉しい。
黒毛和牛はランクアップができて、ホテルのホームページに依ると、黒毛和牛→特選黒毛和牛→大分牛となっている。
献立表には「黒毛和牛」と表示されているが、牧草肥育のような脂身の黄色のような色目が気になる。穀物肥育牛の脂身の白さの肉もある。
大分県の黒毛和牛のブランド牛は「おおいた豊後牛(肉質2等級以上)」と「おおいた和牛(豊後牛のうち4等級以上)」が知られている。「大分牛」はどっちなんだろうか。それとも・・・。
いずれにしても、産地表示はないため、「産地不詳だけど黒毛和牛」と思われる。

・先付
 胡桃豆腐、クルミ、美味出汁、セルフィーユ(茴香芹、チャービル)

・旬菜
 海老芝煮、合鴨チーズ、笑い栗、山女甘露煮、柿見立て、九十オレンジ煮、翡翠銀杏

・造里
 寒八(カンパチ)、鯛、烏賊、あしらい

・焼物
 赤魚と木ノ子の朴葉焼き、榎木(エノキ)、舞茸、葱、チーズ

・台物
 黒毛和牛陶板焼、野菜一式

・蓋物
 豆乳茶椀蒸し、人参餡、鶏、海老、百合根、占地(シメジ)

・揚物
 天婦羅、海老、河豚、蓮根、青身、柚子塩

・止鍋
 大分冠地鶏スープ仕立て、山芋、笹葱、柚子七味

・食事 
 大分県産白米、由布錦
・香物
 三種盛

・水菓子
 ショコラケーキ、フルーツ

朝食

 朝から満腹になる朝食。ありがたいねぇ。自宅ではこんな手数と品目の多い朝食は出てこないし。(「ご自分でお作りになったら?」ということは妻は言わないけど、家庭での食事の不満は思っても口に出さないのは知り合ってから40年以上の経験則の成せる技。美味しい時は大げさに伝えてます)

ホテル室内からの景色

由布院温泉から湯布院温泉郷全体の湯けむりを室内から眺める。由布岳も見えるし、良い景色ですね。

部屋からのホテル施設画像(夜)

由布院観光

金鱗湖散策

岳本温泉 下ん湯(したんゆ)共同浴場

温泉成分データについて

 (浴槽ではなく源泉成分データです)

泉質名 単純温泉
(単純温泉は療養泉基準値を超えるが溶存成分が1,000mgに満たない温泉)

溶存物質(ガス成分除く)768mg/kg
温泉及び療養泉基準値以下の“成分薄目温泉”だが、源泉温度が高いため療養泉として泉質表示と適応症表示(効能ではない)が可能。

温泉利用

・放流式(かけ流し&循環無し)
・加水あり(温度調整)

 温泉成分に影響を与える循環式で無いことが嬉しいものの、先客の水栓閉め忘れなのか、それとも常態なのかドバドバ加水されていた。単純温泉なので加水は成分総量に与える影響は大。それでも狭い浴槽で放流式ということもあり、運用としては嗜好に近い。(浴槽内の湯の入れ替わり時間が1時間~程度の源泉投入量と浴槽の広さのバランス。抗酸化力を有する還元系の温泉を嗜好しています)

□温泉基準値超え

源泉温度が温泉基準値25℃に対して61.9

メタケイ酸基準値50mgに対して214mg/kg
 肌の保湿があるとされるメタケイ酸が豊富。

□療養泉基準値超え

・源泉温度基準値25℃に対して62.4
 (温泉基準値と同じ)

源泉温度が62.4℃のため療養泉となり、泉質名と適応症(効能ではない)を表示することが可能
メタケイ酸は温泉基準値の4倍あるものの、溶存成分は727mgと成分薄目の温泉。源泉温度が25℃を超えていないと「泉質名無し」になるところだった。
それでも「温泉地域遺産登録(日本温泉地域学会選定)」の温泉に入浴できたことは日本温泉地域学会の会員としては嬉しい入浴体験でした。
ちなみに混浴で更衣室も浴槽横にあり、男女の区別無し。お湯も透明で湯あみ着の許可もされていないので女性は相当な覚悟がいるかも知れない。もちろん同行した妻は入浴していない。 

湯の坪街道のお店

由布岳の景色

由布駅周辺散策

結論

 湯布院温泉郷の温泉を楽しむのが目的ならば、今回宿泊したホテルよりももっと小規模で温泉運用のシンプル(源泉加工なし、自家源泉直結浴槽等)な宿を探すべし。
ただし、さほどの高単価設定ではなく、温泉成分よりも、見た目感を優先するタイプや眺望や雰囲気を気にする方には向いていると思う。

 金鱗湖周辺はインバウンド客が多く、混雑し、ざわついている。若者向けには良いが、共同浴場の「下ん湯(したんゆ)」を除き、嗜好する温泉風景ではなかったのが残念。
もっと山奥に行くべきだったとちょっとだけ後悔。
同行の妻(温泉マニアではありません)は「十分満足」と言っていました。また、「(私が言っているような)細かいことは客のほとんどは気にしていないよ」と言われる始末。

温泉分析書データ(TMGP作成資料)

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この記事を書いた人

食彩品館がゆく」は食彩品館とTMGP合同記事。
商業施設と観光。時々神社仏閣。日本温泉科学会員、日本温泉地域学会員、温泉観光士,温泉名人検定合格,温泉ソムリエ,温泉分析書マスター。研究テーマは「全国各地の温泉分析書を現地現物確認し、源泉データを温泉地別に比較。温泉地環境と温泉資源の運用方法」
ラーメンソムリエ。

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