【施設選択理由。2025年実績と2026年の予定】Terme VILLA ちゅらーゆ,ザ・ビータタワー沖縄関連施設。,“源泉かけ流し”の温泉入浴記。新旧温泉分析書の比較と沖縄の温泉事情。

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「ザ・ビータタワー沖縄」宿泊記から続く。

ザ・ビータタワー沖縄(沖縄県北谷町)で連泊夕食サービス,朝夕のブルーシールアイス食べ放題,オリオン生ビール朝から飲み放題。あぐー豚,県産和牛しゃぶしゃぶ。島野菜、朝の黒毛和牛ステーキ、沖縄メニュー。

Terme VILLA ちゅらーゆ

目次

一般論「かけ流し」という表示は鵜呑みできない(経験則)

当館の温泉は全てかけ流しの天然温泉をご用意」(施設HP2025年9月確認時)と紹介されている。
今年、“100%源泉かけ流し”と表示された某地区の大型ホテルに宿泊して入浴した際に、違和感を感じて公的機関で調査していただいたところ、「放流式と循環併用型の浴槽でした(すなわち「源泉かけ流しではない」という調査結果。HPの温泉表示修正を指導されたらしい)」という衝撃的な結果報告をいただいた。当方からの問い合わせに対して施設から回答が無かった理由がこれでわかった。
他にもよく似た事例が散見する。もちろん、正しく生真面目な表示をされている立派な施設もあるが、「源泉かけ流し」と表示している施設には客が宿泊前にきちんと問い合わせするようにした方が良いと感じている。
 その他、入浴時に違和感がある施設が複数あり、温浴施設の「かけ流し」表示は鵜呑みにできないなという印象を持っている。
理由は「かけ流し(放流式)」の定義が曖昧であるということに尽きる。
施設によって「源泉のみを放流式で運用」「源泉に加水、あるいは加温して放流式」「一部の浴槽だけ放流式」「放流式と循環式を併用」ということを“かけ流し”と表示している。
客は「源泉かけ流し」という表示を頼りにして宿を選んでいるという人が多く、宿側も経営を安定させるため、“(我が社の)かけ流し基準”で表示したり、“できれば客が思い違いをしてくれるとありがたい”という想いがあるのかどうかはともかく、優良誤認の怖れがあるような表現がある(私的印象)。
これは個人のSNSだけでなく、温泉紹介書籍の記述や旅行社の広告でも散見。
源泉かけ流しファンは自助努力で見極める必要があります。

温泉の還元性と老化(エージング)の間のゴールデンタイム

 地上に湧出後の源泉が鮮度を保ったまま浴槽に投入されると、空気に触れることで酸化されたり、物理的な影響(客の持ち込む汚れ)等でもともと持っていた温泉の還元性が次第に失われ、老化(エージング)し安定する。
この還元系の源泉新湯が老化状態になるまでの間が泉質別適応症の効果を期待できるゴールデンタイムとされている。

源泉かけ流し温泉志向だけでなく、目指すのは活性力があり、還元性の温泉入浴であって、源泉かけ流し(源泉未加工で放流式運用)は目的に達するための入口です。

沖縄の源泉かけ流し温泉を探す

 今回入浴した「Terme VILLA ちゅらーゆ」は宿泊した「ザ・ビータタワー沖縄」に併設(50mほど離れているが)されていて、宿泊者は滞在中リピート利用できる。
沖縄県で「源泉かけ流し」の浴槽がある宿を探すと、「ちゃたん恵温泉」(2025年入浴したヴィラちゅらーる。2026年も予定)、「猿人の湯(ユインチホテル南城)」、「三重城温泉(ロワジールホテル那覇」(2026年2月宿泊予定)、「伊計島温泉(AJリゾートアイランド伊計島)」、「シギラ黄金温泉(シギラセブンマイルスリゾート)」が源泉かけ流し“らしい”ということがわかったが、実際に行って自分の目で確認しないと正確なところはわからない

Terme VILLA ちゅらーゆ選択理由


 沖縄の温泉は数少ないものの、大変希少な「化石海水温泉」があり、それを楽しみにしていたが、残念ながら「ちゃたん恵温泉(ヴィラちゅらーる)」は地下1400mの掘削で掘り当てた大深度掘削温泉で、期待した「化石海水温泉」ではなかった。
ただ、ドラゴンズ沖縄キャンプ地である北谷周辺には源泉かけ流し温泉が見当たらないこともあり、宿泊地をザ・ビータタワー沖縄にした次第。

 もっとも、ヴィラちゅらーるは日帰り温泉なので、宿泊者以外の客も有料で受け入れている。
当方の嗜好&志向である“還元系のゴールデンタイム”入浴をするには、清掃&新湯入替直後の新湯満タン時間帯に入浴するのがベスト
多くの宿では深夜に清掃&新湯入替を作業することが多いので、朝一番に入浴したり、チェックイン直後誰も入浴していない時間帯を狙い定めて入浴する必要があるため、日帰りではなく宿泊利用が必須と思っています。
ところが、ヴィラちゅらーるは午前7時から日帰り営業していて宿泊客のアドバンテージは無いのがちょっと残念。
それでも、沖縄では数少ない(と、いうか前述の通りほとんど無い)源泉かけ流しがあるだけでも源泉成分重要視派の私にとっては大変、ありがたい。
源泉成分重要視派とは温泉分析書の成分数値と実際に入浴する浴槽の成分ができるだけ同じ、あるいは差異が少ないことを重要視する人のこと。

掲示物よりも大事な現地現物確認

 成分減衰の原因となったり影響することは「源泉地からの距離」「貯湯(源泉の溜め置き)」「自然冷却」「熱交換」「酸化・飛散・沈殿」「加水・加温・循環」など、浴槽前の人工的な、あるいは環境的な影響がある。尚且つ、入浴客が落とす汚れ(一説によると0.5mg/客)や新湯投入量不足などもある。
当温泉は源泉動力湧出地が敷地内にあり、比較的新鮮なお湯が利用可能。
ただし、湧出後は貯湯槽に貯め置いて、必要な量を露天風呂に配湯したり、温泉プール(加水・加温・循環)に利用されている。
ちなみに内風呂は沸かし湯で温泉ではないことをホームページできちんと公開されている。海水浴客対応かなと思うが、この浴槽は冒頭のHPの記述と矛盾。
その他、気になることを問い合わせたが、施設から当方の質問に対して、正直に且つ丁寧に回答していただいた。感謝です。
信用できる施設であると確信し、2025年に続き2026年も2泊利用することに。ちなみに2026年は2泊後に那覇に移動して「ロワジールホテル那覇」に宿泊予定。

ちゃたん恵温泉美浜の湯(ヴィラちゅらーる露天風呂)入浴

成分について(温泉基準値超と療養泉基準値超)

 源泉は「ちゃたん恵温泉美浜の湯」で、湧出地は施設敷地内。
泉質はナトリウム-炭酸水素塩温泉。

含有成分量について

溶存成分(ガス成分除く)計1,650mg

1.炭酸水素イオン1012.8mg
2.ナトリウムイオン431.9mg
3.炭酸イオン48mg
4.塩化物イオン  33.2mg

↓ 2023年の分析書(左)と2013年(右)の分析書

↓ 上記データーと温泉基準値・療養泉基準値を加えて作成したTMGP資料

温泉基準値超成分

・源泉温度基準値25℃に対して42.4℃
・フッ素イオン基準値2mgに対して15.5mg
・メタホウ酸基準値5mgに対して58.8mg
・溶存成分基準値1,000mgに対して1,650mg

当温泉は源泉温度、溶存成分計、フッ素イオン、メタホウ酸の成分含有量により、「温泉」と認められる(温泉法に依る)。

療養泉基準値超

・源泉温度基準値25℃に対して42.4℃
・溶存成分基準値1,000mgに対して1,650mg
 (源泉温度と溶存成分基準値は温泉基準値と同じ)

当温泉は源泉温度、溶存成分計によって「療養泉※」と認められる(鉱泉分析法指針に依る)。

※湧き出た地下水の全てが温泉ではない。温泉には療養泉ではない温泉が存在し、療養泉ではない温泉には泉質名はつかない適応症も表示できない。

 源泉温度が適温であることと、沖縄という立地のおかげで温度調整無し及び加温無しで運用できている。
溶存成分は10年前の1950mgから15%ほど減衰しているが、10年前の溶存成分に含まれていたメタケイ酸310mgが2023年分析書では26mgに激減しているのが理由。ちょっと気になる変化だが、“たまたま※”なのか源泉自体の変化なのかはわからない。
※源泉成分は日々変動する(と推測している)ので、温泉分析書は“その時の成分”であることを理解しておく必要がある。
ちなみに今まで入浴した温泉での最高数値は有馬温泉上大坊の天神泉源の36,090mg。最小は青森ワイナリーホテルの121mg(メタケイ酸基準値超えのため「温泉」)。

 ナトリウム-炭酸水素塩温泉(旧泉名:重曹泉)は「美肌の湯」と知られ、角質や皮脂を落とすクレンジング効果や保湿効果が期待できる。
ただし、“期待できる”であって“効く(効能)”ではない。効果が得られるかどうかは源泉の成分が浴槽内でも療養泉基準値やイオン濃度が適正に保持されているか、すなわち“還元力のある鮮度良好な湯”であるかが重要。
クレンジング効果でお肌ツルツルになっても、活性力のある“温泉力”によってお肌が再生されるかが大事ということを念頭にお湯に浸かる。

※療養泉適応症表示は温泉成分が療養泉として期待できる場合のみ表示ができる(義務ではない。禁忌症は表示義務がある)が、“適応”であって“効能”が約束されている訳ではない。よって“効能”とズバリ表示している場合は施設に対する信頼度が少し下がるように思っています(私的印象)。

  泉質名には表示されないが、温泉基準値(5mg)の10倍以上の含有量のメタホウ酸が58.8mg。10年前の数値から大幅に減衰していて温泉基準値未満とはいえ、メタケイ酸も含まれていて美肌効果に期待が持てるのが女性にとって嬉しい。

 2013年の温泉分析書と比較すると、10年前に含まれていた「硫化水素イオン(HS-)0.9mg」が2023年分析書では無くなっていて、代わりに硫酸イオン(SO4)の欄に0.9mgと表示されてていた。
2013年の温泉分析書に表示されている「微硫黄臭」という表現も気になる。硫黄は匂いはせず、一般に卵の腐ったようなと表現される臭いは硫黄ではなく、硫化水素臭。硫化水素臭は硫酸イオンが硫酸塩還元菌によって硫化物イオンに還元される過程で発生する。繰り返すが“硫黄臭”ではない。
施設受付の壁に表示されていた温泉分析書は2013年のもので、別途、お願いして新しい分析書を取り寄せた。この辺りは温泉法違反を指摘される怖れがあるので十分配慮していただきたい。
また、温泉表示の別表に法律で義務付けられている温泉の運用方法についてが未記載だったので別途、問い合わせした。表示を求む。

◎温泉分析書を見ないとこのあたりの数値が良くわからないので、是非ともホームページで公開していただきたい。

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この記事を書いた人

食彩品館がゆく」は食彩品館とTMGP合同記事。
商業施設と観光。時々神社仏閣。日本温泉科学会員、日本温泉地域学会員、温泉観光士,温泉名人検定合格,温泉ソムリエ,温泉分析書マスター。研究テーマは「全国各地の温泉分析書を現地現物確認し、源泉データを温泉地別に比較。温泉地環境と温泉資源の運用方法」
ラーメンソムリエ。

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