現在は当時と異なる部分があるかもしれません。ご自身で再確認をお願いします。
★食べログ記事をアップしました↓
・即打ち大沢そばもいいけど「ひっつみ定食」選択。大沢の湯,山水閣豊沢の湯入浴,宮沢賢治の幼少期,ジブリ展,湯治部,相田みつを,高村光太郎,大沢温泉金勢神社,
序文 足元湧出泉
今回の岩手県花巻市から遠山郷、北山市への旅のテーマは「足元湧出泉」。
・足元湧出温泉とは、源泉が地上に沸く場所に浴槽を造った温泉。空気に触れないので酸化されていないだけでなく、湧出後ただちに拡散して無くなってしまう二酸化炭素(炭酸泉)や温めたり循環すると消えてしまう放射能泉のアルファ線も堪能できます。入浴ベスト5選出(2025年7月時点)。「ぷくぷく自噴泉全国マップ(自家版)」も紹介
すなわち、温泉が湧き出た場所に浴槽を造ったという、これ以上、鮮度の良い温泉は無いと言えるほど、温泉好きの中でも運用方法として最上位に位置づけられるのが「足元湧出泉」。
なぜ鮮度が重要なのかというと、温泉は湧出時にガス性の成分や放射性の成分の大部分を放出させるとともに、成分が酸素によって徐々に酸化され、源泉に含まれる成分減衰だけでなく、活性も徐々に失われます。
特に源泉地と入浴槽の場所が離れていたり、湧出温泉量が不足する場合に備えて貯湯槽に汲み置き待機させていたりすると、本来の活性力のある還元系の温泉は望めません。
言い忘れましたが、当方、湧出した源泉を未加工で浴槽に注がれ、そのまま放流される運用(ただの“源泉かけ流し”ではなく)をする温泉を嗜好しているため、プールのような大浴場のある温泉宿とは縁遠く、特にここ10年は宿泊することが少なくなりました。多くの場合、循環と塩素消毒が必須の大浴場施設は活性力のない非還元系温泉という私的印象があるので、どのように美辞麗句を並べられてもわざわざ温泉旅行の宿泊先として選定対象から外れます。
もっとも、妻は施設の整った大浴場の温泉が好きなので、妻同行の旅行で二泊三日の場合は、最低1泊は妻の好むタイプの宿に宿泊するということで、大浴場施設を完全否定はしておりません。(先週の指宿白水館記事参照願います)
せっかくの温泉入浴なのに、温泉分析書のデータから期待した効果を浴槽内温泉成分から得ることができないのは残念無念。負け惜しみに「私は若い湯よりもエージング(老化)して安定した湯が好き」と言うしかなくなる。(エージング湯も還元系を気にしなければまったりとしていて気持ちの良い湯なんですが)。
さらに大事なのは足元から次々と新鮮な湯が大量に湧き出て、二酸化炭素などのガス成分やもしかすると浴槽内では微量しか残っていないとされている、ホルミシス効果が期待できる放射能(特にα波)も浴びることができる。
それに投入量が豊富だと、酸化されたり、入浴客の汚れに影響されて活性力が乏しくなったお湯を浴槽から早めに追い出してくれるというのも大事なチェックポイント。
「足元湧出泉」といえども、実際に訪れると、浴槽の上から別源泉が足元湧出とは別に注がれていたり、違う源泉を混ぜて足元から湧き出すように演出していたりと、実際に入浴しないと現実の運用がわからない。
以上の理由から、昨今は足元湧出泉の「現実」を確かめるべく、毎月1回のペースで全国の温泉地を巡っていて、今回は鉛温泉藤三旅館と夏油温泉元湯に宿泊するのが目的の旅。
さらに周辺の観光や、できれば近隣の日帰り温泉にも入浴したいという一人旅。
当日は花巻空港でレンタカーを借りて花巻温泉郷の台温泉精華の湯でまずは朝湯をいただき、続いて、一泊目の目的地である鉛温泉藤三温泉に向かう途中にある、大沢温泉で立ち寄り入浴。
大沢温泉ゆかりの文化人
今回の旅行の目的が「足元湧出泉」だけども、それは温泉の泉質や運営面のことであって、別の目的もあったりする。
宮沢賢治ゆかりの地を訪れることも温泉と併せて今旅行の目的となっています。
宮沢賢治
大沢温泉は平安時代に坂上田村麻呂が発見し、傷を癒したという伝説がある。
近世では南部藩主も利用したり、近代では高村光太郎や幼少期の宮沢賢治も湯治入浴している。
宮沢賢治の父、宮澤 政次郎氏(銀河鉄道の父) は毎夏、大沢温泉で仏教講習会を主催していたこともあり、賢治も幼少の頃より大沢温泉に入浴したり遊び場としていた。
賢治が花巻農学校の教師の頃にも教え子と一緒に訪れている。
↓ 菊水館展示資料より。幼少期の賢治と仏教講習会参加者


↑ 中央黄色矢印が父で青矢印が賢治
高村光太郎
高村光太郎氏も終戦間近に東京から疎開して高村光太郎山荘に逗留。大沢温泉にも入浴しているが、疎開先や大沢温泉を紹介したのは宮沢賢治の父(銀河鉄道の父)だったというから、不思議な縁を感じる。
相田みつを
もう一人、大沢温泉にかかわりがあるのが相田みつを氏。
氏直筆の「ゆ」は大沢温泉の国道側に宿の看板として使われていたり、暖簾のデザインに使われているが、本物は山水閣の玄関に飾られている。(右端の道路看板画像以外は大沢温泉公式ページより)



大沢温泉は「山水閣」「湯治屋」「菊水館」で構成されている。
今回は立ち寄り湯なので、入浴は山水閣の「豊沢の湯」露天風呂の「大沢の湯」。
外来入浴の受付は湯治屋にある。
利用時間7:00~20:30(21:00で終了)
利用料金大人700円(税込) 子供400円(税込)








ところが、たまたまお風呂の掃除時間にあたってしまい、先に食事を済ませることに。
食事処 やはぎ
大沢温泉の湯治部の建物に雰囲気のある食堂がある。
●食事処やはぎ
昼 11:15~14:00









定食類と丼物、カレー。麺類はうどん、中華そば、蕎麦。
客は外来入浴客だろうか、それとも湯治客だろうか。のんびりとした雰囲気が漂う空間がグッド。
蕎麦は大沢地区産のそば粉100%とあるが、おそらく乾麺か工場製だろうと勝手に想像して注文は「ひっつみ」に。
岩手は20代の頃より仕事でも何回か訪れていて、名物とされるものはほとんどいただいているが、現地食の「ひっつみ」はホテルの朝食バイキングを除いて、外食の地場食堂では食したことがなかったことも今回の選択理由。
★ひっつみ定食
農水省の「うちの郷土料理」にも取り上げられている「ひっつみ」。北上川流域を中心に県内各地に広がったということもあり、あちこちで出てくる。今回はこの後、遠野「伝承園食堂 おしら亭(実食記事2025/03/23)」、夏油温泉元湯で食すことになるとは思ってもみなかった。
大沢温泉ホームページの紹介画像によると、当店の「ひっつみ」の特徴は丸いタイプだったが、今回の実食品には見当たらなかった。
↓ 宿のHPで紹介(左)。右画像は実食品


もっとも「ひっつみ」の語原は“手で引きちぎる”なので丸い形や整然した形は少々、違和感がある。
過去実食のひっつみ。
↓ 今回の旅行で食した大沢温泉(花巻市)と夏油温泉(北上市)のひっつみ。


↓ 過去実食の岩手県物産展東屋(盛岡駅前店蕎麦実食記事)のひっつみ



いずれにせよ、食べやすいように進化しているのかと推測。
良く出来たスープ。この出汁感は元スープの出来の良さや野菜等の具材の相乗効果か。
前述の通り、“なんちゃって”は今までも実食済みながら、当店のような本場のひっつみを食せたのは今回の旅のハイライトのひとつと言っても良い。
御馳走様です。
大沢地区の純そば
食後の精算時に蕎麦のことが気になっていたので聞いてみた。
「蕎麦は手打ちですか」と伺うと、「蕎麦は注文があってから粉から練る」というから、熟成させることなく、即打ちなんですね。しかも大沢産地粉の10割蕎麦。
最初に聞いておけば蕎麦を注文したのにとちょっとだけ後悔。


食事してしまったので温泉入浴まで時間を空けなければならない。勝手に師匠と崇拝している某博士の教えを忠実に守る。
大沢温泉周辺を散策



大沢温泉金勢神社木製の金勢様



~ご神体は冬期間大沢温泉敷地内の仮宮でお過ごしいただき、4月29日の祭りでお清めし、ゴールデンウィーク終わりに大久保山に御返しします(旅東北HPより)~
例大祭(4/29)では女性が御神体を大沢の湯で清めて、それにまたがり浴場内を巡回するという。男女の縁結び、子宝、安産を祈念する。
訪れたのは10月なので大沢温泉にあるのは分身ということのようです。ご神体は大久保山の「大沢金勢神社」に鎮座。
ネット検索をすると法被を着た女性達が御神体を洗う画像がヒットする。
湯治部及び周辺景色












菊水館




ジブリ展
たまたま、当日は菊水館でジブリ展が開催されていたので見学。
「まっくろくろすけでておいで~」























旅館展示
菊水館のギャラリーでは懐かしい写真や訪れた客のサイン色紙などが展示されている。
幼い宮沢賢治の画像も。
色紙は撮影許可のものがあれば撮影不許可のものもある。どれがざうなのかわからなくなった(T△T)。














































温泉入浴
掃除も終わったようなので入浴。前述のように日帰客は2浴槽のみに入浴可能。
もっとも、今回の入浴目的は「大沢の湯」だし、いずれも源泉は「大沢の湯」なので特に問題はない。
大沢温泉に宿泊したら営業休止でない限り、以下のお風呂が堪能できる(かもしれない)。


山水閣「豊沢の湯」
まずは山水閣の「豊沢の湯」から入浴するため、山水閣へ館内移動する。







撮影禁止なので浴槽画像は公式HPより



源泉は大沢の湯。
泉質はアルカリ性単純温泉。
温泉基準値超成分
・源泉温度基準値25℃に対して51.2℃
・フッソイオン1mgに対して5.8mg
・総硫黄 1mgに対して1.3mg
・メタケイ酸50mgに対して53.6mg
・メタホウ酸5mgに対して8.9mg
療養泉基準値超
・源泉温度基準値25℃に対して51.2℃
(温泉基準値と同じ)
▢特徴
特徴としてはp.H. 9.0でメタケイ酸とメタホウ酸が温泉基準値超ということで、美肌と保湿効果が期待される。
総硫黄成分※が温泉基準値を超えているが、療養泉基準値(2.0mg)未満のため泉質に「硫黄」はつかない。
※総硫黄合計は温泉分析書には表示されていないので自分で計算する。
総硫黄=硫化水素イオン( HS⁻)×0.970+遊離硫化水素( H₂S)×0.941+チオ硫酸イオン(S₂O₃²⁻)×0.572
とはいえ、私の場合は細かい数値はさほど重要ではないので、硫化水素イオンと遊離硫化水素を足して5%引く①。遊離硫化水素は重量を半分にして①と足すといった簡易な計算式で総硫黄成分量を推測しています。
溶存成分(ガス成分は除く)が606.5mgで温泉基準値及び療養泉基準値の1,000mg未満なので、薄い成分量が入浴感を爽快にしてくれます。
前回(2007年)の温泉分析書では0.4mgだった硫黄成分は今回は何故か温泉基準値超えの総硫黄1.3mg。
硫黄泉ではないものの、硫化水素型ではなく硫黄型の温泉成分はガス成分を除いてエージング(源泉の老化)を結構受けやすい成分で、硫黄泉の成分が循環によって浴槽内に検出されなかったというケースに出会ったことがあります。
・総硫黄2.6mgの源泉だが浴槽では「0」になってしまう事例(水上高原温泉)
続いて、露天混浴の大沢の湯へ。
湯治屋大沢の湯(混浴露天風呂)









豊沢の湯と同じ源泉なので詳細説明は割愛するが源泉の湧出量が記載されていないのが残念。和歌山県の温泉のように詳しく表示してくれていると安心?して湯に浸かれる。
全国の温泉施設及び観光組合、自治体には是非とも以下のような運用表示をお願いしたい。
ちなみに作成掲示日不詳なのはスルーでお願いします(*^-^*)
↓ 南紀白浜温泉の某施設の表示

外から丸見えで、湯の硫黄成分も硫化水素型ではなく硫黄型なので白くは濁らない。ほとんど透明ということで混浴ながらも女性皆無。湯あみ着のことは書かれていないので東北方面の混浴よりも女性はハードルが高い。
こちらの大沢の湯は豊沢の湯と違い、循環されていない源泉からの新湯が投入されている。他客がいたのでいつもの湯桶タイム計測は遠慮したが、まずまずの投入量。
ただし、浴場が広いことに加えて入浴客が多めなので湯の鮮度落ち(エージング:老化)が少々気になるも、浴槽の湯尻側から入り湯上に移動するに従い、なんとなく鮮度感というか活性力が変るように感じるから不思議。
温泉は活性力のある還元系温泉を嗜好するので源泉への加水・加温・循環をしていないことと、お湯の消毒がない方が嬉しい。(ただし、入浴客数に応じた新湯投入量と短いターンオーバータイム※が必須)
※ターンオーバーとは浴槽のお湯が入れ替わるのに要する時間のこと。短いほど新鮮で活性力がある還元系の湯が期待できる
温泉には湯あたりを防ぐために最大でも10分程度(3分→休憩→3分→休憩→4分)しか浸からないが、この温泉だったら成分内容と成分量を含めてもう少し長湯ができるかもしれない。
それでも、今日は台温泉にも入浴しているし、成分としては当方の嗜好より物足りないということもあり、少し浸かっただけで出ようとしたら地元の古参客に「まあ、ここに座って景色でも眺めなさい」と言われたので、もう少し長居することに。おそらく、私がさっさと退湯したのを見て、当湯の良さをじっくり堪能するのを勧めてくれたのだと思ったので素直に従う。
宮沢賢治も高村光太郎もこの景色を見たのかなあと思いながら眺める。
それでも宮沢賢治は「下ノ畑」や羅須地人協会跡地の高村光太郎揮毫の「雨ニモマケズ詩碑」、宮沢賢治記念館の「鈴木バイオリン製チェロ」の現物を見た感動とはちょっと違う。
大沢温泉は周囲の建物を含めて大沢の湯も風景の一つなんだなと改めて思った。
大沢の湯は対岸から、あるいは橋の上からの景色が良い。
浴場から出ようとしたら高村光太郎が女将のために書いたという「湯」の文字がデザインされた暖簾がかかっていた。おもわずニコっとしてしまう。
↓ 国道側の「ゆ」、山水閣の本物の「ゆ」、暖簾の「ゆ」



(のれんは大沢の湯にあるため、撮影していません。大沢の湯の暖簾は赤色でしたが、販売されている暖簾は紺色系)
昨今は撮影機材(カメラやiPhone)を更衣室や浴場に持ち込むだけで盗撮の疑いがかけられるリスクがあります。特に当湯は混浴であることもあり、浴場内での撮影は自粛。
浴槽画像は自身が撮影機材を浴槽内に持ち込んだ証拠にもなるという心配もあるし・・。
浴場外からの撮影は「入浴客がいなければ」という条件で撮影許可をいただきました。
すばらしい歴史を感じる湯治屋と菊水館を堪能させていただいたが、日帰り入浴は2つの浴槽だけというのが残念。
もっとも当方、源泉数で温泉入浴数をカウントしているため、特に問題はありません。
山水閣の循環浴槽がちょっと残念だが、大沢の湯と宮沢賢治の幼少期の写真や著名人の色紙を拝見することができたので十分、満足です。
● 大沢温泉日帰り入浴
・受付 湯治屋
大人700円(税込)
岩手県花巻市湯口字大沢181
0198-25-2315
受付時間8:00~19:00
売店 大沢温泉






▢岩手県花巻、遠野、北山の温泉と観光記事
・天然きのこは“感激だぁ~”でも蕎麦は・・・。道の駅 錦秋湖(岩手県和賀郡)西和賀町の天然きのこ,黒舞茸,白舞茸,さわもだし,西わらび,沢も出し,サク(エゾニュウ)。錦秋湖大滝,裏見解放とライトアップ,
・おしら亭で「ひっつみ」と「カッパ焼き」伝承園と遠野観光(岩手県遠野市)河童淵,彩りけいらん,がんづき,遠野産ホップ,千葉家南部曲がり家,続石,めがね橋(宮守川橋梁),
▢温泉に関する直近記事
・砂蒸会館砂楽,砂むし風呂,山川砂むし温泉,砂湯里,開聞岳,西大山駅,JR日本最南端,,ヘルシーランド露天風呂たまて箱温泉,
・指宿白水館(鹿児島県指宿市)温泉と温泉分析書解説。砂むし風呂,元禄湯,腰湯,江戸柘榴(ザクロ)風呂,泡泉,樽風呂,露天風呂,うたせ湯,釜風呂,岩盤浴,白水館その2
・湯布院(大分県由布市)~黒川温泉(熊本県)旅行記その1。湯布院温泉と金鱗湖、そして由布院温泉】「ゆふいん」の理由。由布院ことぶき花の庄と湯布院下の湯入浴記。湯の坪街道と由布岳の景色。
・「温泉根本主義者」からするとちょっと不満な足元湧出泉。それでも満足の理由。法師温泉長寿館(群馬県)法師乃湯,長寿の湯,玉城乃湯,夕食と朝食。国の登録有形文化財の建物。ギンヒカリ,おっ切り込み。
・療養泉基準値超えの二酸化炭素含有量。“本当の”炭酸泉 奥田屋(岐阜県下呂市)下呂を越えて飛騨小坂へ行く理由。泉岳館,ニコニコ荘,飲泉場,富士神社,薬師堂,雪景色。
・温泉の資格取得。温泉観光士,温泉名人検定,温泉ソムリエ,温泉ソムリエマスターの違い。日本温泉地域学会,日本温泉科学会,日本温泉協会,
・“p.H.”を「ピーエイチ(ピーエッチ)」と読むか「ペーハー」と読むか。「ピーエイチ(ピーエッチ)」と読まないと若者には通じない?。
・冬の東北秘湯4日間で復路欠航顛末記,秋田空港の冬の欠航率が高い件,不老ふ死温泉,新玉川温泉,乳頭温泉鶴の湯,酸ヶ湯温泉,谷地温泉,田沢湖,
・(作成中)全国温泉記事まとめ(記事目次付)
過去の温泉入浴記録