ヨーロッパで氷河を沢山確認してからすっかり氷河のファンに。
「シャモニー周辺の氷河」記事
帰りの飛行機でも日本の氷河や氷河候補を確認したいということで、座席から撮影。
フィンエアのビジネスシートは座っていると隣席の顔が見えないように席が配置されているため気兼ねなく撮影することができる。
シベリア上空から日本海に出て、そして新潟からフォッサマグナの上空を通って中部国際航空へ向かうルートであることは事前にわかっている。
あとはシートの位置。ビジネスシートは横に4席配置されているため、進行方向右端ならば後立山連峰~剣・立山方面が撮影できる。
結論から言うと、無事に右端の席に着席。
後で知ったが、今回のツアーは7組14名が参加していて、往復で中央席と窓際席を交代するようになっていたらしく、我々は中央席の予定だった。
それが、チェックインカウンターに最初に並んでいたところ、往路の中部国際空港→ヘルシンキ便で窓際席が空いていたようで、カウンターレディの配慮で変更してくれたらしい。
おかげで往路にシベリアのツンドラ地帯を撮影することができました。復路のシベリア上空は雲の中だったのに。
心配していたが、日本上空に入ると雲も少なく、絶好の撮影日和。
ただし、鹿島槍を過ぎたあたりで雲に突入し、一瞬真っ白。すぐに晴れたが、その時は槍ヶ岳上空でした。
レンズは2本でSONY F2.8 35-70mmGMの大三元ズームレンズと F4通しのSONY 70-200mmGの小三元レンズをそれぞれソニーのミラーレス1眼カメラに装着し、2台で交互に撮影。(現在は広角はSONY35-70mmGMⅡに、望遠レンズはSONY70-200mmGMⅡに交換してます)
後で見るとズーム幅の大きい小三元のGレンズで撮影した方が綺麗に写っている。
将来、エベレストの遊覧飛行を計画しているが、航空機で窓ガラス越しに遠くの景色を撮影する時はこっちのレンズをメインで使うことにしようっと。
(画像はこの記事の最後に紹介しています)
氷河とは?
その前にもう一度「氷河」のおさらい。
「シャモニー周辺の氷河」記事で紹介した通り、氷河の定義は「重力によって長期間にわたり連続して流動する雪氷体」。
厚い雪氷体の存在と氷体の流動を確認が必要となります。
以下、同記事から抜粋転記すると、
~どうやって氷河の氷が生成されるのかというと、降雪した新雪が、さらに降り積もった雪の重みで圧雪され一定の密度になると「フィルン(firn)」となり、これが越年雪渓(すなわち万年雪)として年中溶けない氷となります。
数値的には新雪の密度は約0.05~0.15g/㎤で、さらに上からの降雪の重みで圧せられ、結晶間の空気が抜け出て密度が0.5g/㎤以上になると「フィルン(firn)」。
この「フィルン(firn)」がさらに圧されて密度が約0.83g/㎤を超えると「氷河氷(ひょうがごおり)」となり、氷の結晶の塑性変形と氷河の底面滑りによって流動します。
日本では長く氷河はないと思われてきたが、1999年に立山の御前沢雪渓、剱岳の三ノ窓雪渓と小窓雪渓が発見され、2012年に学術的にそれが氷河と認められました。
2013年には剱岳西面の池ノ谷右俣雪渓が発見され、立山の氷河とともにそれまでの氷河の南限であったとされていたカムチャッカ半島から大きく南限緯線が移動。
さらに唐松沢雪渓の調査結果について2019年10月には日本雪氷学会「雪氷」で論文が紹介され、唐松沢氷河が認定されました。
研究者のご努力には本当に感謝申し上げます。
31年前の新婚旅行でヨーロッパのスキー場を選択したのは「氷河でスキー」も理由のひとつ。さすがに日本の氷河では気軽にスキーはできないが、見ることができるのはありがたい。
万年雪が多く残る場所が氷河かというと、そうでもないらしく、例えば、日本三大雪渓である剱岳大雪渓、針ノ木大雪渓、白馬大雪渓は上部集水域面積が広く、大量の流水が雪渓の底に流れ込みことによって雪渓底から溶けてしまうため氷河とはならないとか。
残る可能性としては「不帰沢雪渓」,「杓子沢雪渓」,「白馬沢雪渓」が候補となっているようです。
※後述するが、上記3雪渓は氷河候補として論文提出(2024年時点)されています。
理由としては、氷河の底を溶かしてしまう上部集水域面積が氷河に認定された「カクネ里氷河」よりも狭く、雪渓面積が他の氷河と同等ということらしい。
なるほど。ということで、以下の7ケ所が2019年12月時点で学術的に認定。そして白馬周辺の雪渓3ケ所が氷河候補として論文提出、または論文執筆。
◆日本の氷河(2024年時点)
氷河とは「陸上で重力によって常に流動している多年性の雪氷体(雪と氷の大きな塊)」
以下、計測データは確認時数値と立山カルデラ砂防博物館(2020年2月4日版)数値、日本雪氷学会氷河情報センターより
番号(①~⑦)・記号(A-C)は空撮地図と連動
(数値は調査団資料、新聞、学術誌その他より。数値が異なる場合は調査団資料を採用。素人調べの数値なので転載厳禁&間違い指摘不要)
①御前沢氷河 – 立山(富山県)2012年確認(Gozenzawa-Glacier)
・長さ700m,厚27m,幅200m
・長さ700m,幅200m,面積10ha,標高2500~2800m(2020年)
②内蔵助氷河 – 立山・真砂岳(富山県)2018年確認(Kuranosuke-Glacier)
・長さ150m,厚25m,幅150m
・長さ350m、幅120m,面積2.5ha,標高2700~2830m(2020年)
③三ノ窓氷河 – 剱岳(富山県)2012年確認(Sannomado-Gacier)
・長さ1,200m,厚48m,幅100m
長さ1600m,幅100m,面積13ha,標高1700~2400m(2020年)
④小窓氷河 – 剱岳(富山県)2012年確認(Komado-Glacier)
・長さ900m,厚30m以上(2011年)
・長さ1,600m,厚30m,幅200m
・長さ1200m,幅200m,面積17ha,標高2000~2300m(2020年)
⑤池ノ谷氷河 – 剱岳(富山県)2018年確認(Ikenotan-Gacier)
・長さ800m,厚39m,幅50m(2012年)
・長さ950m、幅が最大で110m、標高1800~2300m(2020年)
⑥カクネ里氷河 – 鹿島槍ヶ岳(長野県)2018年確認(Kakunezato-Gacier)
・長さ700m,厚40m,幅280m(2011年)
⑦唐松沢氷河 – 唐松岳(長野県)2019年確認(Kramatsuzawa-Gacier)
・長さ1,100m厚35m,
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◆氷河候補(この付近という程の地図)
「雪渓」は夏でも局所的に残る積雪のこと
A.不帰沢雪渓(Kaerazusawa-snow patch)★氷河論文提出
・厚 最大29m、移動14cm(2022年9月~10月調査)
B.杓子沢雪渓(Shakushizawa-snow patch)★氷河論文提出
・厚 最大43m移動26cm(2022年9月~10月調査)
・年間移動距離4m、2年で8m(2021年~2022年計測,新潟大学2024年報告)
・「街から見える氷河」に期待。
↓ 参考白馬連山氷河調査団
C.白馬沢雪渓(shirouma-snow patch)★論文提出予定
・長さ400m,厚30m,2年間で2m流動確認(2021年~2022年計測,新潟大学2024年報告)
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航空機からの山座同定は麓からの景色とは当然、異なるため意外と苦労。
後立山連峰付近は良く通ったスキー場ばかりなので、位置や麓からの景色の記憶から比較的容易だったが、立山方面は1~2度だけしか入山していないため馴染みが少なく、前述の通り核心部通過が雲の中だったこともあり苦労しました。
◇ フィンエアからの日本アルプス景色
・赤色で白抜き文字の番号は「氷河」
・黄色で白抜き文字の記号は「氷河候補の雪渓」
□後立山連峰と認定氷河及び氷河候補の雪渓
・後立山連峰周辺の氷河と山座同定。記号A~Cは氷河候補の「雪渓」
↓ 上図の元画像
・唐松岳、鹿島槍周辺の氷河と山座同定。剣・立山方面の景色
↓ 上図の元画像
□剣・立山周辺
↓ 上図の元画像
山岳風景(穂高・乗鞍・御岳)
□槍ヶ岳から奥穂高・前穂高周辺
□乗鞍周辺
□御岳周辺
◇スイス10日間旅行2019年初夏
・2019/07/18スイス旅行まとめページ
・2019/07/23レンタルWifルーター使用状況
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・2019/08/02フィンエアビイジネス機内食
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・2020/02/23スイス旅行食事一覧(瑞西,伊,仏,芬蘭)
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◇ヨーロッパの氷河
1988年(スイス~イタリア国境越えスキーと氷河スキー)
・スイス側からクラインマッターホルン(現 グラッシャーパラダイス)までゴンドラとロープウェーを乗り継いで昇り、スキーに履き替え、テオドール峠経由でイタリア側に降りる。チェルビーノ(マッターホルンのイタリア名称)の街で買物してイタメシ食べてスイスに戻る。スイス側ではテオドール氷河の上を滑降してツェルマットまで降りる。
2019年スイスアルプス(ユングフラウヨッホ,アイガー,マッターホルン,ディアボレッツァ,ブライトホルン,ラゴビアンコ)~フランスアルプス